Category Archives: アリマキバチ科/Pemphredonidae
- Passaloecus sp. Passaloecus属の一種
- Pemphredon montana Dahlbom, 1845 ミヤマアリマキバチ
- Psen dzimm Tsuneki, 1959 ジンムヨコバイバチ
- Psenulus carinifrons iwatai Gussakovskij, 1934 キアシマエダテバチ
Pemphredon montana Dahlbom, 1845 ミヤマアリマキバチ
見慣れない黒いハチが尾根の鞍部(標高〜620m)の日陰で休んでいました。(前伸腹節の皺の有無、腹端の形状により、ミヤマアリマキバチ(Pemphredon montanus)のメスのようですね。分布も本州中北部なので問題ないでしょう。 by 管理人) 2011年11月上旬 山形県・里山/撮影者:しぐま様
Passaloecus sp. Passaloecus属の一種
種不明その1。里山で杉林の中にある小さな小屋の板壁に小さな節穴?が開いていました(直径2.5mm)。オレンジ色の物質が穴の周囲に塗られており、不思議なことにそれは日を追うごとに量が増えていきました。(最後は板壁からしとどに滴り落ちるまでになりました)指で触れてみると新鮮な樹脂だと判明しました。(杉のヤニ?)
年季の入った板壁から樹脂が分泌されるはずがありませんから、何者かが集めて来ていることになります。その正体は小さなハチでした。どうやらこの節穴に営巣しているようです。生態を観察しようと採集を先延ばしにして一月ほど定点観察していたら、いつの間にか姿が見えなくなってしまいました。
(画像から翅の亜縁室が2個、腹柄はないように見えます。その特徴からイスカバチ属の一種(Passaloecus sp.)だと思われます。イスカバチは、材の細い虫孔や屋根のカヤのずい孔などを利用して造巣し、各幼虫室の仕切り壁には一般に杉ヤニや松ヤニが使われるそうです。狩るのはアブラムシです。
Passaloecusで検索したところ、このようなウェブサイトを見つけました。リンク先のページ中程の画像群の一番左上をクリックしてみてください。ちなみにドイツ語のページです。検索でヒットした画像には、「Aphid Buster Passaloecus Nest」という画像もありました。イスカバチでアブラムシの駆除をしているようです。資料によると1室に20~50集めるとありますから、これだけ大量に営巣するとアブラムシ退治にかなり効果がありそうですね。 by 管理人)
残念ながら今回は狩りや貯食シーンは見ることができませんでしたので、いつか観察してみたいものです。人の気配にとても敏感な蜂で、なかなか接写させてくれませんでした。専ら離れた位置から観察していたのですけど、私の第一の興味は穴の周囲に塗られた樹脂の意味についてです。オレンジ色の樹脂を口に咥えて運ぶところはなんとか動画に撮れました。添付写真は、同じ巣穴が最終的にこうなったという写真です。おそらく樹脂を集めて巣材にしているのだろうと予想は付きましたが、帰巣の際に入り口を汚したにしては塗り方が丁寧(戦略的)です。どうやらこの樹脂は、辺りを徘徊するアリや巣穴を探して飛来する借坑性のハチに対して、忌避効果がありそうだという印象を受けました。
↓教えてもらった英文サイトにまさにその通りの記述がありました。
>The female Passaloecus first clear debris from the tunnel with their mandibles, then visit trees for resin droplets, and spread a ring of sticky resin around the nest entrance, to prevent other predatory insects from entry.
2010年7月上旬 山形県/撮影者:しぐま様
Psenulus carinifrons iwatai Gussakovskij, 1934 キアシマエダテバチ
やがて蛹は黒くなり、数日で羽化しました。しばらく管ビンに入れておいたままだったのですが、猛暑による高温のためか、お亡くなりになってしまいました。そのとき撮影したのが下の写真です。後日同定したところ、キアシマエダテバチと判明しました。本州以南に分布しており、南方系らしく北に行くほど生息数は少ないようです。福井RDBの解説によると、幼虫の餌にヨコバイを狩り,1室に10数匹を貯え,クモの巣を使った薄い壁で部屋を仕切るそうです。2008年8月 宮城県/撮影者:管理人
とりあえず、持ち帰って飼育してみることにしました。 無造作にヨシを割ってしまいましたので、蛹は繭から取り出し、管ビンに入れて飼育しました。蛹は、腹部第1節が細く、頭部や胸部背面、腹節後縁に突起が見られました。写真の蛹は、若干黒くなって来ているようです。2008年7月 宮城県/撮影者:管理人
とあるヨシ原で、枯れヨシに穴が開いているのを見つけました。割ってみてみると、いくつかの部屋に分かれてハチの蛹が入っていました。2008年7月 宮城県/撮影者:管理人
Psen dzimm Tsuneki, 1959 ジンムヨコバイバチ
自宅裏にハゴロモを狩る蜂のミニコロニーがありました。確認できた獲物は、アミガサハゴロモのみ。巣穴は、土の崖に作られていて、水平方向から侵入しています。2006年8月12日 神奈川県川崎市/撮影者:裏庭様